なぜ歯の根の治療は回数がかかるのか?

歯科医師の平山が担当いたします。
今回は歯医者で行うメインの治療の1つ、歯の根の治療についてお話いたします。
経験されてきた方も多い、歯の根の治療。
虫歯の治療はだいたい1.2回で終わるのに対し、歯の根の治療が必要になると、根の治療だけで3.4回、そこから被せ物の治療を行うと合計5.6回以上も、、、、、
なぜ、1つの歯に対してこんなにも歯医者さんに通わないといけないのか、早く終わってほしいのに、、と疑問や不満を感じる患者さんも多くいらっしゃると思います。
そこで今回は、根の治療に回数がどうしてもかかってしまう理由を、分かりやすく説明していきたいと思います!!

まず歯の根の治療とは、時間をかけて感染し続けた細菌との闘いだということです。
根の治療が必要になるまで進行した虫歯は、歯の内部の[根管]と呼ばれる、神経の通る管の奥にまで細菌が侵入しているため、細菌感染を起こした神経を可能な限り取り除かなくてはいけません。
そして、除去した後は、再び細菌が侵入しないよう緊密に封鎖する必要があります。

治療に時間と回数がかかる理由
1.治療の工程が、軽度の虫歯治療に比べ複雑である点
2.通常の治療に比べ、より精密な処置が求められる点
3.その日の治療だけでは細菌を確実に除去できないため、薬の力により細菌を弱らせる必要があるため、どうしても日を改めないといけない点
があげられます。

では、実際どのような治療を行なっているのか図で説明していきます。

①治療前

虫歯が根管内に侵入している状態です。感染を起こした神経は、徐々に壊死していき、それが根の先端(根尖)にまで到達すると、顎の骨の中に細菌の巣を作り出します。

②徹底した虫歯の除去

細菌の侵入した入口から神経の管に至るまでの虫歯を徹底的に除去します。

③壊死してしまった神経の除去

専用の器具(ファイル)を用いて、根管内の壊死した神経を取り除いていきます。根管はかなり狭い世界のため、ここの工程に時間と回数がかかります。
※特に奥歯の歯になるほど、根管の数が増えていくため、より多くの回数がかかる場合があります。

④薬液を用いて、完全に除去

機会的な除去(ファイルを用いた除去)だけでは、除去しきれない細菌たちを薬液を用いて完全に除去していきます。

⑤無菌となった根管内に詰め物をする

壊死した神経、細菌がなくなり、無菌となった根管内にガッタパーチャと呼ばれる、封鎖剤を詰めていきます。これにより、細菌たちの侵入を防ぎます。

この時点で根の治療は終了!!

⑥土台作り

被せ物を作るために、虫歯により削られた部分に台を作っていきます。

⑦土台を形作り、型取りを行う

⑧被せ物装着!!

ここでようやく治療完了です!お疲れ様でした!

いかがでしたか、図で見ると感染起こした歯の状態がよく理解いただけたかと思います。
複雑かつ狭い根の治療は、治療の中でも難易度は高く、より精密さが求められます。
それは、根の治療が感染を完全に除去することに加え、今後2度と同じように感染を起こさせないための治療だということです。

村上歯科では、根の治療にはしっかりと時間を設けさせていただき、精密かつ安心した治療を患者さまに提供しております。
中にはどうしても、回数がかかり、皆様にご迷惑をおかけする点があるかと思いますが、根の治療は皆様の協力も不可欠なものになりますので、どうかご理解いただけると幸いです!
なにか治療に際し不明な点、疑問点等あれば、わかりやすく説明いたしますので、いつでもお声かけください!

参考文献 nico2025.2